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前橋地方裁判所 昭和44年(ワ)143号 判決 1973年3月26日

主文

一、被告は、原告久保田又夫に対し金七五五万〇、七六〇円、原告松村節夫に対し金八三一万二、九七〇円、原告高柳繁雄に対し金六八八万八、九九〇円、並びに右各金員に対する昭和四四年七月一日から各支払済に至るまで年五分の各金員を支払え。

二、原告らのその余の請求を棄却する。

三、訴訟費用は、原告久保田又夫と被告との間ではこれを二分し、その一を原告久保田又夫の負担とし、その余を被告の負担とし、原告松村節夫と被告との間ではこれを一〇分し、その一を原告松村節夫の負担とし、その余を被告の負担とし、原告高柳繁雄と被告との間ではこれを一〇分し、その一を原告高柳繁雄の負担とし、その余を被告の負担とする。

四、この判決は第一項に限り仮りに執行することができる。

五、この判決は被告において原告久保田又夫に対し金二五〇万円、原告松村節夫に対し金二八〇万円、原告高柳繁雄に対し金二三〇万円の各担保を供するときは第四項の仮執行を免れることができる。

事実

(甲)  申立

(原告ら)

被告は、原告久保田又夫に対し金一、三七八万九、四四〇円、原告松村節夫に対し金九一九万二、九六〇円、原告高柳繁雄に対し金七六一万八、二四〇円、並びに右各金員に対する昭和四四年七月一日から各支払済に至るまで年五分の割合による各金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言。

(被告)

原告らの請求はいずれもこれを棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決。

(乙)  主張

(原告らの請求原因)

第一、被告は、中小企業等協同組合法(以下単に組合法という)に基き、コンクリート二次製品の製造販売並びに加工を目的として出資口数二、〇〇〇口、一口の金額金一、〇〇〇円をもつて昭和三三年一二月六日設立された企業組合である。

第二、被告に対し、原告久保田又夫は出資持分三二四口、原告松村節夫は出資持分二一六口、原告高柳繁雄は出資持分一七九口を有するところ、原告らは昭和四三年一〇月二五日被告に対し昭和四三年事業年度(昭和四四年三月三一日終了)の末日をもつて組合を脱退する旨の意思表示をし、右意思表示は翌二六日被告に到達した。被告は昭和四四年三月三一日付書面をもつて右を承諾した旨同年四月一日原告らに通知した。

第三、一、よつて、原告らは被告に対し出資持分全額の払戻しを求めるものであるが、被告組合定款第一九条は「組合員の持分は本組合の正味財産につき、その出資口数に応じて算定する」と定め、同第一三条は「組合員が脱退したときは、その持分の全額を払戻すものとする」と定める。従つて、原告らはその出資口数に応じて被告の正味財産につき算定した金額の払戻を受ける権利がある。

(一) そして、被告の昭和四四年三月三一日現在における正味財産は別表一の一ないし三記載のとおりである。

右現在被告は別紙物件目録一ないし三記載の各土地を所有しているが、協同組合の組合員が組合から脱退した場合、右払戻持分の基礎となる組合財産の評価は、組合と脱退組合員との間の財産関係の整理として行われるものであるから、組合の損益計算の目的で作成されるいわゆる帳簿価格によるべきものではなく、組合の事業の継続を前提としなるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価格を標準とすべきものと解するのが相当である。この見地からは、組合脱退時における土地の時価をもつてその価格とすべきである(別表一の一土地項目は金六、五三一万六、〇〇〇円となる)。

なお、別紙物件目録二、三記載の各土地は農地法第五条の許可を条件とする被告のための所有権移転仮登記がなされ、昭和四四年三月三一日現在まで所有権移転登記は経由されていないが、既に被告組合によつて代金支払がなされ、所有権の取得がなされているから、これを正味資産の算定につき計算の中に入れても被告に不利をもたらすものではない。

(二) 仮りに右土地の取得が無効であるとすれば、被告は当該土地代金として支払つた別紙物件目録二記載の各土地代金四一九万六、六六〇円及び同目録三記載の各土地代金一一〇万円の返還請求権を取得すべきであり、これを資産に計上しなければならない。この場合土地価格は金五、二九七万二、〇〇〇円となる。

二、すると、

(一) 別表一の三記載のとおり右一(一)に従つて出資持分の計算をすれば、出資一口の価格は金四万二、五六〇円(金一〇円未満切捨)となり、原告らが払戻しを受くべき金額はつぎのとおりとなる。

(1) 原告久保田又夫  金一、三七八万九、四四〇円。

(2) 原告松村節夫   金  九一九万二、九六〇円。

(3) 原告高柳繁雄   金  七六一万八、二四〇円。

(二) 因みに、右一(二)に従つて出資持分の計算をすれば、出資一口の価格は金三万九、〇三〇円(金一〇円未満切捨)となり、原告らが払戻しを受くべき金額はつぎのとおりとなる。

(1) 原告久保田又夫  金一、二六四万五、七二〇円。

(2) 原告松村節夫   金  八四三万〇、四八〇円。

(3) 原告高柳繁雄   金  六九八万六、三七〇円。

第四、よつて、被告に対し、原告らは夫々右第三項二(一)(1)ないし(3)の各金員並びにこれらに対する本訴状送達の日の翌日である昭和四四年七月一日から各支払済に至るまで民事法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(請求原因に対する被告の答弁)

一、請求原因第一、第二項を認める。同第三項一のうち別紙物件目録一記載の各土地を被告が所有していること、その余の土地につき同目録三(二)記載の土地を除き昭和四四年三月三一日当時所有権移転仮登記がなされていること、未だ農地法第五条の許可を得ていないこと、同目録二(一)ないし(八)記載の土地取得代金が金四一九万六、六六〇円、同目録三(一)及び(二)記載の土地取得代金が金一一〇万円であること、並びに別表一の一、二の土地項目を除く項目はいずれもこれを認めるが、その余は争う。同項二及び同第三項を全て争う。

二、組合法第二〇条第一項は持分の払戻しにつき定款による制限を認めている。ところで、被告の定款第一三条による出資持分払戻しについての算定は同第一九条によつて算定すべきところ、その持分の算定は被告の事業の継続を前提とする会計原則によつて帳簿価格によるべく、この算定に当つては土地の再評価を許す根拠は何らない。他方、被告は企業組合であつて、実体的には株式会社と同様である。即ち、組合員の責任は出資額を限度とする有限責任であり(定款第一三条第二項)、法定準備金の積立を強制してその取り崩しは損失補てんのみしか使用できず(組合法第五八条第一、第二項)、又剰余金の配当は損失をてん補した後でなければできないものとする(同法第五九条)等資本充実の原則をうたつている。

更に被告は昭和四四年三月三一日現在総計金九、八六一万五、〇三九円の負債があり、これら債権者にとつての担保は被告組合の財産のみである。従つて、これら債権者の利害関係を無視して土地を再評価し出資持分の払戻しは認められない。それ故に定款上も会計原則により算出した持分の払戻しのみを認めているのである。

三、昭和四四年三月三一日現在における被告所有土地は別紙物件目録一記載の各土地のみで、この取得価格は金二三六万三、四三九円である。その余の土地については未だ被告は所有権を取得していないのでその取得価格は本来仮払金として資産勘定にあげるべく、仮払金四一九万六、六六〇円及び金一一〇万円を正味資産算定の基礎に入れ、その再評価は許されない(結局、被告主張の原告らの払戻持分額は別表一の一ないし三のカツコ内の数字で計算したものとなる。但し、持分価格については金一、〇〇〇円未満切捨。)。

(被告の原告久保田又夫に対する抗弁)

第一  原告久保田又夫は被告組合設立当初の昭和三二年から昭和四一年三月末まで組合理事の役職にあつたが、これを奇貨として三栄商事なる名称で被告組合と別表二の一ないし一三六、同表三の一ないし三の請求数量欄に記載したとおり砂、四分砂利、砕石等の運搬取引を行い、運賃として同表三の一ないし三の請求運賃欄記載のとおり総計金九二八万二、九六〇円の支払を受けていた。これは別表二の一ないし一三六、同表三の一ないし三換算数量欄及び適正運賃欄と比較してみるとその差額は同表三の一ないし三差額欄記載のとおり金四九七万九、六四〇円となり不当に高額である(但し、いずれも別表二の一ないし一三六、同表三の一ないし三に記載してあるカツコを除く。なお同表三の一ないし三は同表二の一ないし一三六を月毎に整理し、その総計を算出したものである)。

なお、右各数量の算出については一坪を五・八三二立方米、一屯を〇・六立方米とし、一台を昭和三九年六月一五日までの分は四・五立方米、同月一七日以降の分は六立方米として換算している。

第二、一、右取引については、原告久保田又夫は被告の承認を受けていないものであるから無効の取引というべく、右差額金四九七万九、六四〇円は同原告において法律上の原因なくしてこれを利得し、被告に同額の損失を与えたことになる。

二、仮りにそうでないとしても、同原告は被告組合理事として善良な管理者の注意を以て職務に当るべき義務があるのに、これに違反して不当に高額な右請求運賃を請求してその支払を受け、以て被告に対し差額金四九七万九六四〇円相当の損害を与えたものである。

第三、よつて、被告は昭和四四年九月一二日の本件口頭弁論期日で右不当利得返還請求権ないし債務不履行による損害賠償請求権に基き、原告久保田又夫主張の出資持分払戻請求権をその対当額において相殺する旨の意思表示をする。

(抗弁に対する原告久保田又夫の答弁)

一、原告久保田又夫が被告とその主張にかかる砂利等の運搬取引を行つていたことを認める。なお、別表二の一ないし一三六のうち被告の主張する昭和三六年四月一四日ないし三一日の記載(同表二の一の昭和三六年五月一二日付項目のつぎの記載からの分)は同年五月一四日ないし三一日の誤記である。そして同表二の一ないし一三六、同表三の一ないし三のうち、年月日欄、品名欄、請求数量欄、請求単価欄、請求運賃欄、数量欄の各記載はこれを認める。その余は否認する。

二、砂利業界では現実の積込量と伝票記載数量との間に一割ないし三割の過積分があるのが実際であつたので、原告久保田又夫の運賃計算は伝票記載数量と関係なく、納入の際被告組合の担当者が立会検査した数量に基きなされたもので、その納入合計量は二万〇五三二立方米である。なお、昭和三七年七月までの納入量は坪を以て計算され、一坪は通常六立方米として取り扱われる。

ところで、昭和三九年六月一五日まで砂利等の納入に使用していた同原告のダンプトラツク(群一す三八一一。以下甲車という)では、その納入量について検収に際し時に多い少いの問題を生ずることがあつたので、同年同月一七日より右に使用した同原告のダンプトラツク(群一す三六六〇。以下乙車という)は、発注に際し、ボデーの大きさを四米×二・二〇米×〇・八米とし、納品の際下から砂利、砂の表面が見える場合はその積載量は七・〇四立方米を上回るので、検収に際してはこれを七立方米とするとの合意が被告との間に成立し、これに従い搬入及び検収がなされた。

(原告久保田又夫の再抗弁)

第一、一、原告久保田又夫が砂利、砂等の運送をしていた被告組合設立のころから昭和四一年一月に至るまで、被告組合理事全員は右原告と被告との砂利運搬取引の事実を知り、何らの異議もなかつた。

二、また毎年行われる定時総会においても毎回異議なく承認されて来た。

三、しかも昭和三五年度以降砂利、砂等の運賃については変更改訂の都度、被告組合代表理事の決裁に従い、支払は全て被告の支払帳に基き代表理事が行つて来たものであつて、原告と被告との砂利等の運搬取引は全て適法に行われたものである。

第二、仮りに被告の相殺の主張が理由あるとしても、その謂う不当利得は原告久保田又夫と被告との砂利等運送契約によつて生じた商事債権であるので発生後五年間その償還請求権を行使しなければ消滅時効が成立する。しかるに被告は昭和四四年九月一二日の本件口頭弁論期日においてはじめてその請求をしたのであるから、昭和三九年九月一三日以降に生じた不当利得分についてのみその償還を請求することができるものといわなければならない。

第三、又、仮りに被告の主張が不法行為による損害賠償請求であるとすれば、三年間その請求をしなければ消滅時効が成立するから、昭和四一年九月一二日が最終期限となり、それ以前の事実に基く損害賠償請求は許されない。

(再抗弁に対する被告の答弁)

再抗弁第一項を否認する。理事会は合議体であり、その存在は法律上の必要々件である。従つてその決議も、持ち廻り決議等簡易な決議は認められない。即ち理事会の決議とは招集手続を経た合議体としての決議をいうのであつて原告との砂利等運搬取引についてはかかる意味における承認決議は存在しない。又被告組合の代表理事は右取引における運賃を決定したことはなく、原告久保田又夫が計理担当理事の立場を利用して適宜定めたものにすぎない。

再抗弁第二、第三項のうち被告が相殺の意思表示をしたこと及びその日時は認めるが、その余を否認する。被告の主張する原因債権は債務不履行による損害賠償請求権、又は不当利得返還請求権であつて、いずれも民事債権であるから、消滅時効の期間は一〇年である。

(被告の原告久保田又夫に対する再々抗弁)

相殺の主張は自働債権と受働債権が時効消滅前に相殺適状にあるときはその後時効期間を経過してもその旨の主張ができるところ、原告久保田又夫の被告組合脱退の効力は昭和四四年三月三一日生じたから、これによりその持分払戻請求権が具体化し、その時に相殺適状にあつたといえる。

(再々抗弁に対する原告の答弁)

原告久保田又夫が被告組合を脱退した日時を認める。その余は否認する。

(丙) 証拠(省略)

理由

第一  請求原因第一、第二項の各事実は当事者間に争がない。

第二  一、ところで原告らは被告に対し、被告組合脱退に際し出資持分払戻を請求しているが、右持分算定の基礎となるべき組合財産の評価については帳簿価額によるか、時価によるか争がある。

(一)  これにつき組合法第二〇条第二項は「組合財産によつて定める」旨定めるが、一般に脱退は組合の一部解散であり(但し組合そのものは尚事業を継続する)、組合員の脱退による持分の計算は組合財産の一部清算であるから、その価額は真実の客観的な価額によつて算定されたものを標準とすべきである。即ち、その価額は組合の損益計算の目的で作成される帳簿価額によるべきではなく、協同組合としての事業の継続を前提とし、なるべく有利にこれを一括譲渡する場合の価額を標準とすべきである。

被告組合定款第一九条第一項の「正味財産」は右の趣旨を明確にしたものと解すべきである。

(二)  被告組合定款第一三条第二項は組合の債務が超過した場合に限つて適用され、しかも組合債権者たる第三者に対する脱退組合員の責任に関する規定であり、直接組合と脱退組合員との関係を規定したものではなく、又法は法定準備金の積立(組合法第五八条)、剰余金の配当(同法第五九条)等に関して資本充実の原則をうたい、組合債権者の保護を計つており、このことが組合の健全な運営に役立つているともいえるが、他方組合員の脱退が組合の一部解散という性質を否定することは出来ず、その場合には組合の純財産に対して組合員が有する分け前である持分の支払と、組合の資本充実の要請とをどのように調整するかについて組合法はこれを定款に委ねたものというべきである(組合法第二〇条第二項に持分は組合財産によつてこれを定めると規定するのみで、又同条第一項に定款の定めるところにより一部の払戻を請求することができると規定する)。そして被告組合定款第一三条第一九条には持分の全部を正味財産につき算定する旨規定する。

すると、法は持分算定の基礎となる組合財産を前述のとおり真実の客観的な価額によつて定めるを原則としているので、右算定を帳簿価格によるとする被告の主張は理由がない。

二、右一の見解を前提として被告組合の昭和四四年三月三一日現在の財産を計算する。

(一)(1)  別表一の一、二記載の資産及び負債項目は土地項目を除き当事者間に争がない。

(2)  又、右土地項目のうち別紙物件目録一記載の土地が被告組合所有であることは当事者間に争がなく、その当時の時価は合計金五二九七万二、〇〇〇円であることが鑑定証人高木清四郎の証言及び鑑定の結果によつて認められ、これに反する証拠はない。

(二)  右土地項目のうち別紙物件目録二及び三記載の土地は、昭和四四年三月三一日現在農地法第五条の許可を得ていないから、その取得価格は仮払金として資産項目に入れその再評価は許されないと被告は反論する。

ところで成立に争のない甲第三号証の一ないし八、同第四号証の一、二によれば、同目録二記載の各土地及び同目録三記載の各土地はいずれも昭和四二年一〇月八日(但し、同目録二(六)記載の土地は同年一二月二二日、同目録三(一)記載の土地は昭和四三年三月二一日、同目録三(二)記載の土地は昭和四四年六月一六日)農地法第五条の許可を条件として被告がこれを買受け、昭和四二年一一月一三日付(但し、同目録二(六)記載の土地は同年一二月二五日付、同目録三(一)記載の土地は昭和四三年三月二六日付、同目録三(二)記載の土地は昭和四四年六月一七日付)で条件付所有権移転仮登記がなされていることが各認められ、これに反する証拠はない。

すると、被告は同目録二及び三記載の各土地を買受けたとはいえ、右各土地につき、昭和四四年三月三一日当時は未だ農地法第五条の許可を得ていず、単に条件付所有権移転の仮登記を得ているにすぎず(同目録三(二)記載の土地はその旨の仮登記もない)、未だ被告に所有権は帰属していないといえるから、右各土地取得に要した土地代金五二九万六、六六〇円(同目録二記載の各土地の取得価格は金四一九万六、六六〇円、同目録三記載の土地のそれは金一一〇万円であつて、このことは当事者間に争がない)はこれを以て仮払金として資産勘定にあげるべく、その時価を再評価することは許されないというべきである。

(三)  以上のとおりであるとすれば、結局被告組合の資産合計は別表一の一の流動資産項目中本項二認定の仮払金五二九万六、六六〇円を加え、同表の土地項目を本項一(二)認定のとおり金五二九七万二、〇〇〇円と修正すると金二億一一五六万五、四一四円となる。

そこでこれを基準として原告らの出資持分払戻請求金額を計算するとつぎのとおりとなる(別表一の四記載のとおりである。なお、同表一の三記載の納税引当金額、役員賞与額及び配当金額は被告において明らかに争わないのでこれを自白したものとみなす)。

(1)  原告久保田又夫  金一二四六万九、四六〇円。

(2)  原告松村節夫   金 八三一万二、九七〇円。

(3)  原告高柳繁雄   金 六八八万八、九九〇円。

第三  つぎに被告は、原告久保田又夫が同組合設立当初よりしてきた砂利等運搬取引につき同組合から不当に高額な運賃を受領しているが、これは不当利得となるので、これと同原告の持分払戻請求額とを対当額で相殺すると主張するので判断する。

一、原告久保田又夫が被告組合設立当初から砂利砕石等の運搬取引を行つていたこと、その取引経過については別表二の一ないし一三六のうち同原告が請求した分、即ち年月日欄、品名欄、請求数量欄、請求単価欄、請求運賃欄の各記載部分(即ち同原告が被告に対して請求した分)は同原告と被告との間で争がなく、これを月毎に整理しその総計を求めると別表三の一ないし三記載のとおりとなる(なお同表二の一のうち昭和三六年五月一二日付項目以後の項の同年四月一四日ないし三一日付各項目はいずれも同年五月一四日ないし三一日の誤記であることが成立に争のない乙第三号証の一によつて認められる)。

二、(一) ところで、理事は理事会の承認を受けた場合に限り組合と契約することができ(組合法第三八条)、理事会の承認を受けずに理事が組合と締結した契約は無効であるというべきところ、原告久保田又夫は右一の取引につき被告組合理事会の承認があつたと主張する。

惟うに、中小企業等協同組合は相互扶助の精神に基き協同して事業を行い公正な経済活動の機会を確保し、以てその自主的な経済活動を促進しその経済的地位の向上を図るために設けられ、行政庁による相当広汎な監督を受け、経済上の利益をも享受しないわけでもなく強度の公益性を有すると解されるので、その役員である理事の職責は重大であつて、法が理事会の権限としている事項については、全理事について意見を発表しうるなどその権限の行使が適切にあずかれるようにしなければならない。従つて理事たる者がその職責を尽すべく理事会においてその権限を行使することは、単に組合員に対する誠実義務のみからではなく、協同組合の公益性の点からも強く要請されているというべきであり、従つて理事会の権限として定められている事項については法に定める理事会の適法な決議がないのにみだりにこれありと解することは理事をして前記職責を果す機会を奪うことになり許されないと解すべきである。

しかるに、原告久保田又夫が主張する右一の取引の承認については適法に理事会の招集手続がなされ、正規の理事会においてこれが承認されたことを認めるに足りる証拠はない。

従つて、原告久保田又夫が右一のとおりの取引をして来たのは全て理事会の承認を経ずしてこれをなして来たものであつて、同原告が被告組合より運賃として受領した金員(即ち別表二の一ないし一三六の請求運賃額)のうち同原告が実際に被告組合に入れた砂利砕石の量及びその時価相当分を控除した残額は、全て同原告が無効の取引、即ち法律上の原因がないのに取得した利益であつて、これによつて受けた被告の損失は不当利得として被告に返還すべき筋合となる。

(二)(1) 同原告は被告組合理事全員が右取引の事実を知り何らの異議もなかつたと云うが、単に右異議がなかつたという丈では理事会の承認があつたということにはならない。

(2) 又同原告は定時総会においても毎回異議なく承認されて来たと主張するが、右総会において議題にのぼつた形跡はなく、この無たる事実をとらえて異議なく承認されたと看ることはできない。

(3) 更に同原告は運賃の変更改訂の都度被告代表理事の決裁に従い、支払は全て代表理事がこれを行つて来たと主張するが、代表理事の右決裁は右取引につき理事会の承認がなされたことを前提としてこれに基きなされるべき事柄に属し、右承認決議をさしおいてなされた右の決裁をとらえて全て右砂利等運搬取引を適法視することはできないものといわなければならない。

(三) 又同原告は被告の主張する不当利得返還請求権は被告との砂利砕石等運送契約によつて生じた商事債権であるから、債権発生後五年を以て消滅時効にかかると主張するが、被告の主張する右不当利得返還請求権は当事者の意思表示たる商行為によつて発生するものではなく、直接民法第七〇三条第七〇四条を根拠に発生するものであるから、商法第五二二条の適用を受けない。

よつて、同原告の右主張も理由がない。

三、そこで、原告久保田又夫が実際に運搬した砂利砕石等の量及びその適正運賃について判断する。なお、以下別表二の一ないし一三六、同表三の一ないし三につき当裁判所認定の数量及び金額が被告主張のそれと異なる場合はそれぞれカツコで表示することとする。

(一)(1)  まず右原告は右砂利砕石等の運搬については、昭和三八年六月二一日までは自動車番号三八一一号の、同年同月二四日から同年七月一日まで自動車番号四三三三号の、同年同月二日から昭和三九年六月一五日まで自動車番号二一六二号の各トラツクを主として使用し、又同年同月一七日以降は自動車番号三六六〇号のトラツクを使用していることが成立に争のない乙第八号証の一ないし二九一七によつて認められる。

(2)  そして、別表三の一ないし三中数量欄及び換算数量欄の関係については、(イ)一・六坪が九・三立方米であることは成立に争のない乙第八号証の七四によつて認められ、又(ロ)一トンが〇・六立方米であることは成立に争のない乙第八号証の一〇〇、一一七、一二七、一三〇、一五〇、一六六、一七四、二六二、二八二、二八七、二八九、二九一によつて認められ、又(ハ)昭和三九年六月一五日までの一台が四・五立方米であることは成立に争のない乙第八号証の一五五一、一五五二、一五五八、一五五九、一五六一、一五六二、一五六四、一五六八、一五六九、一五七三によつて認められ、更に(二)同年同月一七日以降の一台が六立方米であることは成立に争のない乙第八号証の一九九九及び二〇〇〇によつて認められ、更に(ホ)八合が四・六立方米、九合が五・二立方米であることは成立に争のない乙第八号証の九九、一〇一、一〇二、一〇四、一〇五、一〇七ないし一一一、一一三、一一五、一一六、一一八ないし一二六、一二八、一二九、一三一ないし一三八、一四〇ないし一四九、一五二ないし一五八によつて認められる(なお、右換算の割合以上に被告の主張する換算数量は被告の自認したものと看做す)。

(二)  そこで右(1)の換算の割合に従い、被告の主張する原告久保田又夫の砂利砕石運搬数量につき立方米へ換算すべき数量を検討する。

(1) 昭和三六年四月一六日付砂五・八立方米、同年六月三日付二番項目砂七・〇立方米、同年七月二六日付三番項目砂七・〇立方米、同年同月二九日付三番項目砂七・〇立方米、同年同月三〇日付三番項目砂七・〇立方米、同年同月三一日付砂七・〇立方米、同年八月一日付砂七・〇立方米、同年同月二日付一番及び二番項目砂各七・〇立方米、同年同月五日付二番項目砂七・〇立方米、同年同月八日付一番ないし三番項目砂各七・〇立方米、同年同月一〇日付二番項目砂一四・〇立方米、同日付三番及び四番項目砂各七・〇立方米、同年同月二四日付砂二一・〇立方米、同年同月二八日付二番項目砂一四・〇立方米、同年九月一二日付三番項目及び四番項目砂各七・〇立方米、昭和三七年一〇月三日付砂四・五立方米(同年同月三一日付四分砂利項目直後に記載あるもの)、昭和三八年一月九日付二番項目砂(同年同月一二日付一番項目砕石直前に記載あるもの)六立方米、昭和四〇年一二月二七日付三番項目砂七・〇立方米、同年同月二八日付三番項目三分砂利七・〇立方米、同年同月二九日付二番項目三分砂利七・〇立方米、昭和四一年一月五日付二番項目三分砂利七・〇立方米については原告久保田又夫の請求数量をそのまま換算数量としているので右数量については当事者間に争がないものである。

(2) 又、昭和三八年七月一日付二番項目四分砂利、昭和四〇年二月九日付三番項目砂、同年六月一五日付二番項目四分砂利、同年同月一七日付二番項目四分砂利、同年一二月二七日付二番項目四分砂利はいずれも六立方米の限度で、昭和三六年六月七日付三番項目四分砂利、昭和三八年九月二日付二番項目四分砂利はいずれも四・四立方米の限度で被告の自認するところである。

(3) つぎに、昭和三七年三月九日付二番項目四分砂利三・八立方米は成立に争のない乙第八号証の三三〇、三三七、及び弁論の全趣旨によつて、同年同月一一日付砂五・四立方米は同乙第八号証の三三一、三三二、及び弁論の全趣旨によつて、同年同月二六日付四分砂利四・八立方米は同乙第八号証の三五五、三五六、及び弁論の全趣旨によつて、同年四月三日付三番項目四分砂利四・八立方米は同乙第八号証の三五五、三五六、三五八、及び弁論の全趣旨によつて、同年四月二五日付砂項目七立方米は同乙第八号証の四一四によつて、同年五月二四日付二番項目砂五・四立方米は同乙第八号証の四五〇、四五三、及び弁論の全趣旨によつて、同年同月三〇日付一番項目砂一〇・八立方米、同日付二番項目四分砂利一〇・八立方米はいずれも同乙第八号証の四四七ないし四五五、及び弁論の全趣旨によつて、同年七月七日付四分砂利五・四立方米は同乙第八号証の四九九、五〇〇、及び弁論の全趣旨によつて、同年同月一九日付二番項目砂、同年同月二〇日付三番項目砂、同年同月二一日付五番項目砂各五・四立方米はいずれも同乙第八号証の五一〇、五一二、五一五、五一八、五一九、五二四、及び弁論の全趣旨によつて、同年八月六日付二番項目砂六立方米は同乙第八号証の五二九、五三〇、及び弁論の全趣旨によつて(なお、同年同月七日付砂五・五立方米以上の認定であるが右超過部分は被告の自認するところである)、同年同月二〇日付三番項目砂六立方米は同乙第八号証の五五二、五五四、五五七、及び弁論の全趣旨によつて、同年同月二四日付二番項目四分砂利、同年同月二七日付二番項目四分砂利各六立方米は同乙第八号証の五五五、五六〇、及び弁論の全趣旨によつて、同年一〇月九日付二番項目四分砂利及び同年同月三日付二番項目四分砂利(同年同月三一日付四分砂利項目直後に記載あるもの)各一・八立方米は同乙第八号証の五九六、六〇〇、及び弁論の全趣旨によつて(なお換算率一・六立方米以上の認定であるが、右超過部分は被告の自認するところである)、同年同月三一日付砂項目(同年九月二九日付砂値上項目直前に記載あるもの)六・〇立方米は同乙第八号証の六二七、六二九、及び弁論の全趣旨によつて、同年一二月一一日付三番項目四分砂利、同年同月一八日付三番項目四分砂利各六立方米は同乙第八号証の七〇三、七一〇、七一八、七一九、及び弁論の全趣旨によつて、同年同月二六日付四番項目砕石五・五立方米は同乙第八号証の七二八、七四一、及び弁論の全趣旨によつて、昭和三八年一月九日付四分砂利(同年同月一一日付四番項目四分砂利直後に記載あるもの)五・四立方米は同乙第八号証の七五一、七五四、及び弁論の全趣旨によつて、同年二月二一日付三番項目四分砂利六立方米は同乙第八号証の八三三、八三八、及び弁論の全趣旨によつて、同年五月二三日付二番項目四分砂利六立方米は同乙第八号証の一〇〇三、一〇〇六、及び弁論の全趣旨によつて、昭和三九年一月一一日付二番項目砂、同年同月一九日付二番項目砂、同年同月二〇日付三番項目砂、同日付四番項目砂、同年同月二二日付二番項目砂各三・九立方米はいずれも同乙第八号証の一三八二、一三八六、及び弁論の全趣旨によつて(なお、同年同月二二日付二番項目砂は換算率以上の認定であるが、右超過部分は被告の自認するところである)、同年二月一八日付三番項目四分砂利四・五立方米は同乙第八号証の一四五二、一四五三、及び弁論の全趣旨によつて、同年一〇月九日付三番項目砂六立方米は同乙第八号証の一九八〇、一九八四、一九八六、及び弁論の全趣旨によつて、同年一二月一五日付一番項目砕石六・三立方米は同乙第八号証の二一三二によつて、同年同月二三日付三番項目砂六立方米は同乙第八号証の二一五六ないし二一五八、及び弁論の全趣旨によつて、昭和四〇年二月八日付四番項目三分砂利六立方米は同乙第八号証の二二四五、二二五七、二二六三、二二六四、及び弁論の全趣旨によつて、同年三月二九日付四番項目四分砂利六立方米は同乙第八号証の二三七六、二三七七、二三八二、及び弁論の全趣旨によつて、それぞれ認められるところである。

(4) 更に、昭和三七年三月二八日付砂の数量は八・五立方米であることが成立に争のない乙第八号証の三五〇によつて認められ、又同年同月三〇日付砂の数量は八・四立方米であることが同乙第八号証の三五二によつて認められるところであるから、右各数量に従い計算することとする。右各項目に関する被告の換算数量欄の主張は措信しない。

(5) なお、右(1)ないし(4)記載の各項目及び後記四(二)記載の項目を除くその余の項目に記載ある砂利砕石等の数量欄の各記載は別表二の一ないし一三六証拠欄記載の乙第八号各証(いずれも成立に争なく、同表(証拠欄)にはいずれもその枝番号を以て表示してある)によつてそれぞれ認められ、その換算数量は右(一)(2)に従うと同表中換算数量欄記載のとおりとなる。

(三)  そこで、つぎに被告の主張する原告久保田又夫の砂利砕石等の適正運賃について検討する。

(1) 証人小此木実の証言によつて成立の認められる乙第四ないし第七号証、同証人の証言、及び弁論の全趣旨によると、昭和三六年四月一日より昭和四一年一月一一日までの砂利砕石運搬料は一般に一立方米当り金三〇〇円相当であつたこと(これは主として渡良瀬川流域より被告組合へ運搬していたものと考えられる)、唯神流川流域の砂利採取場より被告組合へ運搬した場合の運搬料は一立方米当り金二〇〇円相当であつたこと(以下神流川分という)が認められ、右神流川分は成立に争のない乙第八号証のうち埼北砂利協同組合発行名義の納品書分(別表二の一ないし一三六適正単価欄に※印で表示した)、西武鉄道株式会社発行名義の荷渡票分(同表同欄に◎印で表示した)、株式会社金子組ないし金子石産株式会社発行名義の納品書分(同表同欄に☆印で表示した)、東和産業株式会社発行名義の受取証分(同表同欄に〓印で表示した)、神流川砂利株式会社発行名義の荷渡書分(同表同欄に〓印で表示した)がこれに該当するものと考えられる。従つて、右神流川分以外の砂利砕石運搬料については一般に一立方米当り金三〇〇円相当と考えざるを得ない。

なお、被告組合発行の注文書についてはそのうち宛名欄が西武鉄道株式会社宛のもの(同表同欄に×印で表示した)は右神流川分であることが同乙第八号証の五一九ないし五二七、五三七、五四二ないし五四四、五七九、五八二、五八八ないし五九〇、五九五、五九八、六〇一、七〇四、七一三、八七二、八七三、八七六、八七七、及び弁論の全趣旨によつて認められるが、右以外の分についてはいずれの河川流域よりの砂利砕石の運搬であるか不明であるから、一般に従い一立方米当り金三〇〇円相当の運搬料と考えざるを得ない。

すると、原告久保田又夫の運搬した砂利砕石等の一立方米当りの単価は、別表二の一ないし一三六中適正単価欄に当裁判所の認定単価が被告主張の単価と異る項目についてそれぞれカツコで示してある分を除くと、被告主張の適正単価のとおりとなる。

(2) そこで前記(二)で認定した原告久保田又夫の砂利砕石運搬量につき、右(1)の適正単価に従いその適正運賃を計算すると別表二の一ないし一三六適正運賃欄記載のとおりとなり、これを月毎に整理しその総計を計算すると別表三の一ないし三記載のとおり金四三六万四、二六〇円となる。

四、以上のとおりであるから、別表三の一ないし三請求運賃欄記載の総計金九二八万二、九六〇円より同表適正運賃欄記載の総計金四三六万四、二六〇円を控除すると、結局総計金四九一万八、七〇〇円となり、これを原告久保田又夫は被告との無効の取引によつて不当に利得し、被告に対し同額の損失を与えたということになり、被告は原告に対しこれが返還を請求しうべきこととなる。

なお、右不当利得を検討するについては右三の他別表二の一ないし一三六の項目中につぎの(一)及び(二)の点を考慮してある。

(一)  昭和三七年二月六日付一番項目四分砂利適正運賃金二、八八〇円が同原告の請求運賃金二、七〇〇円を超過することについては被告の自認するところであり、又、同年一二月二日付二番項目砕石単価違いとして同原告が金四九二円を差引いていること、及び昭和三八年一月二八日付三番項目計算違いとして同原告が金二、一七五円を差引いていることは被告の自認するところである。

(二)  又、昭和三七年九月二九日付砂値上項目請求運賃欄金八一円(同年一〇月三一日付砂項目の直後に記載あるもの)、昭和三八年二月七日付五番項目値増請求運賃欄金四九六円、同日付六番項目値増請求運賃欄金一、六〇〇円、昭和三九年二月二八日付二番項目記帳洩れ請求運賃欄金五円、同年一一月二八日付五番項目値増請求運賃欄金三、六四〇円はいずれもその根拠が明らかでなく、更に同年一二月二二日付四番項目砕石一立方米請求運賃欄金五〇〇円、同日付五番項目砂一立方米請求運賃欄金五〇〇円、同日付六番項目四分砂利一立方米請求運賃欄金四三〇円についてはいずれも原告久保田又夫において実際に右砂利砕石等を運搬したことを認めるに足りる証拠がないので、いずれも右に見合う全額を不当利得したということになる。

五、ところで、被告が昭和四四年九月一二日本件第二回口頭弁論期日において、右四の不当利得返還請求権に基き原告久保田又夫の出資持分払戻請求権をその対当額につき相殺する旨の意思表示をしたことは一件記録上明らかである。

右両債権は同原告の被告組合脱退の効力の生じた昭和四四年三月三一日現在相殺適状にあるものであるから、右当時相殺勘定をすると、同原告は被告組合に対し、結局金七五五万〇、七六〇円の出資持分払戻を受くべき筋合となる。

第四 以上のとおりであるから、被告は原告らの同組合脱退による出資持分払戻請求権に基き、原告久保田又夫に対し金七五五万〇、七六〇円、原告松村節夫に対し金八三一万二、九七〇円、原告高柳繁夫に対し金六八八万八、九九〇円、並びに右各金員に対する遅延損害金のうち本訴状が被告に送達された日の翌日であることが一件記録上明らかである昭和四四年七月一日から各支払済に至るまで民事法所定年五分の割合による金員の支払をなすべき義務がある。

よつて、原告らの本訴請求のうち右各部分は理由があるからこれを認容することとし、その余は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用につき民事訴訟法第八九条第九二条を、仮執行の宣言につき原告ら勝訴部分に限り同法第一九六条を適用し、なお本訴は被告において原告久保田又夫に対し金二五〇万円、原告松村節夫に対し金二八〇万円、原告高柳繁雄に対し金二三〇万円の各担保を供させることを条件として仮執行の免脱をさせることを相当とする。

よつて主文のとおり判決する。

(別紙)

物件目録一

(一)伊勢崎市富〓町字大向一四一番一

宅地 一〇二二五・二七平方米(三〇九三・一五坪)

(二)同市同町字七分川三二六番一

宅地 四八七八・〇二平方米(一四七五坪)

(三)右同所三二六番三

宅地 二九七・五二平方米(九〇坪)

物件目録二

(一)右同所三一六番

畑 四九五平方米(五畝)

(二)同市同町字大向一三八番

畑 四九五平方米(五畝)

(三)右同所一四〇番

畑 四四六平方米(四畝一五歩)

(四)右同所一九九番

畑 四四六平方米(四畝一五歩)

(五)右同所二〇三番

畑 六四四平方米(六畝一五歩)

(六)同市同町字七分川三二二番

畑 五四五平方米(五畝一五歩)

(七)右同所三一五番

畑 五二二平方米(五畝八歩)

(八)右同所三二一番

畑 五六五平方米(五畝二一歩)

物件目録三

(一)右同所三二三番

畑 四九五平方米(五畝)

(二)右同所三一二番

畑 四九五平方米(五畝)

(別表一の一)

貸借対照表

昭和44年3月31日現在

資産

<省略>

(別表一の二)

負債

<省略>

(別表一の三)

正味資産ならびに出資持分価格計算表

1.決算書による正味資産

2.持分価格

3.原告らの出資持分払戻請求分

※ 但し、以上カツコ内数字は被告主張額を示す。

<省略>

(別表一の四)

当裁判所の出資持分価格計算書

1.正味資産

2.持分価格

3.原告らの出資持分払戻請求分(但し10円未満切捨)

<省略>

(別表二及び三は省略する。)

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